2023-2024 theme
ロータリーを語ろう
そして ロータリーを楽しもう
2023-2024年度国際ロータリー
第2800地区ガバナー
伊藤 三之(いとう みつゆき)
山形北ロータリークラブ
ロータリーを語ろう
1905年に創設されて以来、ロータリーの役割は、ロータリアンの人生において、地域社会において、そして世界において、絶えず進化してきました。
ロータリーの初期においては、親睦と友情を深めながら、地域社会で人びととの「つながり」を築く方法を提供してきました。ほどなくして、ロータリーに「奉仕」という概念が芽生え、組織の成長とともにロータリーの影響力も大きくなっていきました。その後ロータリー財団の支えもあって、ロータリーの奉仕は、世界中の人びとの生活を変えていく力を持つようになりました。友情だけでなく、人助けのために行動する方法を求めて、そして、そのことを通じて自分自身も成長することを求めて、多くの人がロータリーに集うようになりました。ロータリーの奉仕は、人びとの人生、地域社会、そして世界を変えてきました。
ただ、残念なことに、ロータリーがどんな団体で、どんな活動をしているのかを十分に理解している人は多くありません。ロータリアンの仲間ですら、ロータリーについて十分に知らず、その結果、ロータリアンであることの恩恵をあまり享受していない、または実感していない人も少なくありません。
ロータリアン一人ひとりが、自らが関わっているロータリー活動について、それぞれの立場で、そのロータリー的意味を考え、学び、大いに語り合ってみましょう。
その際のキーワードは「奉仕の理念」です。ロータリーの核心とも言うべき「奉仕の理念」とは、誤解を恐れずに言えば、「世のため人のために、自分に何が出来るのか」ということです。「他人を思いやる心」と言ってもいいかもしれません。
ロータリアンは、クラブ内で親睦をもとにして自己研鑽・切磋琢磨して奉仕の理念を学び奉仕の心を形成する。この内なる奉仕がクラブ奉仕であり、クラブの外では、奉仕の心を、職業奉仕、社会奉仕、国際奉仕、そして青少年奉仕として実践する。これがロータリー活動です。
どんな内容の卓話をすれば会員は役に立ったと言ってくれるのか、どんな工夫をすればニコニコボックスに喜んで参加してもらえるのか、各種奉仕事業ではどのような事業プログラムにすればロータリーらしさを出せるのか、それぞれの立場で、身近なところから、関わっていることのロータリー的意味を探り、語り合ってみましょう。
自分自身も、周りも、これまでよりも少しでも向上することを願って。難しいことではありません。実は、いろいろな窓から、それぞれが同じロータリーの風景を見ているにすぎないのです。
そして ロータリーを楽しもう
私たちは、誰しもが、自分の仕事を成功させ、家族を幸せにしようと努力します。でも、それだけでは何となく物足りないと感じます。世のため人のために役立ちたい、との願望を持ちます。私たちは、生まれ持って、幸福とは私的な意味での幸せばかりでなく、社会との関わりの中での幸せをも含むものである、その双方の意味での達成感、満足感を満たすことではじめて豊かな人生をおくれることを知っているのかも知れません。
だからロータリアンになっているとも言えます。
奉仕という気高い志に基づく行為は、奉仕を受ける人たちに良い効果を与えますが、それ以上に奉仕をする側の者にも、幸福、喜びなど、人生で最良の価値を与えてくれるはずです。
つまり、利他の精神が自分の幸せにつながる、そして自分を活かす道であるということです。
私たちロータリアンは、そのような志を共有する仲間です。
一歩進めて、相手の心に寄り添うメンタルヘルスに取り組んでみましょう。きっと貴方自身も癒やされるはずです。
世の中に、相手に、そして自分自身の中に、平和を取り戻しましょう。
私たちと関わる全ての人を歓迎し、公平で、インクルーシブな環境を作りましょう。
人びとの人生を豊かに、そして自分の人生を豊かにするために、ロータリーを楽しみましょう。
「ロータリー」は、時間も、距離も、人種も、言語も、宗教さえも、軽々と超えていける魔法のキーワードです。
ロータリーを語り合い楽しむ仲間を増やそう
ロータリーを語り合い楽しむことで、ロータリアンとしての活力が身につきます。活力あるロータリアンが多いクラブは、組織としての活力も増します
そのような好循環の中で、さらにクラブの活力を増大させるとともに、自分自身の活力を増大させるために、ロータリーを語り合い楽しむ仲間を増やしましょう。
仲間になって欲しい人に、ロータリーをどのように説明するのか、ロータリーの魅力をどのように伝えるのか、その悩みの中にこそ、ロータリーを学ぶヒントがあるはずです。大いに語り合いましょう。
その際には、マイロータリーなどのツールを積極的に活用し、世界中の仲間とつながり、世界中の仲間のアイデア、最新情報を積極的に取り入れましょう。
また、既存会員、特に入会歴の浅い会員の退会をいかにして防ぐことができるのか、今こそ、その対策を真剣に考えてみましょう。ここでも、世界中の仲間のアイデア、最新情報がきっと役に立つはずです。
さらに、テクノロジーを活用して多くの人とのつながりを作りましょう。より多くのプログラム、行事、活動にバーチャルの要素を取り入れることで、より多くの人にロータリーを体験する機会を提供できます。ロータリーの公共イメージも向上し、ロータリーを理解してくれる人が増えるはずです。
それぞれの最上川物語
国際ロータリー第2800地区の対象エリアは、山形県全域です。幸いにも、私たちの地区は行政単位と一致した非常にまとまりのある地区構成です。
さて、山形県の母なる川、最上川。一つの都府県内で完結する河川としては日本一の長さ(229キロ)を誇ります。米沢の西吾妻山を水源とし、県内の数多くの市町村内を流れ、酒田の日本海にそそぎ込みます。私たちの地区の第1グループから第6グループの全てを網羅しているのです。
<広き野を ながれゆけども 最上川 うみに入るまで にごらざりけり>
山形県民の歌「最上川」。この歌は、昭和天皇が皇太子でおられた大正14年に山形県に行啓されご覧になった最上川の様子を、その翌大正15年の歌会始においておよみになられたものです。
松尾芭蕉は「奥の細道」紀行(1689年)で、次のような句を残しています。
<閑かさや 岩にしみ入る 蝉の声>
<五月雨を あつめて早し 最上川>
<暑き日を 海に入れたり 最上川>
私たちのふるさと山形の山、川、海の、厳粛さ、清涼さ、雄大さを見事に表現しています。
ふるさとの母なる川、最上川。いにしえより恵みを運ぶ大動脈。未来に豊かで美しい最上川を引き継いでいくために、最上川をステージにして、地区内全てのグループが一丸となって、環境をテーマにした事業を行いましょう。ロータリー奉仕デーの事業として地域社会に広報し、ロータリアンだけでなく、青少年を含む多くの地域の方々、パートナーの方々とともに汗をかいて、最上川をとおして環境問題、そしてふるさとを考えてみましょう。
それぞれのロータリアンが、それぞれの最上川物語をつくりましょう
与える文化
米山梅吉が20代で学んだアメリカ、オハイオ州のウェスリアン大学はキリスト教メソジスト教会によって創立された私立大学ですが、メソジスト派の創始者ジョン・ウェスレーは次のような言葉を残しています。
「Gain all you can, Save all you can, and Give all you can」
大いに稼ぎ、大いに蓄え、そして大いに与えなさい
また、近代経済学の父アダム・スミスは、こう指摘します。
「経済人として生きるのに必要なのは、聞く耳、涙する目、そして差しのべる手である」
これが欧米の資本主義の思想と、自ら蓄えた財産を社会や未来のために寄付する文化を育てたと言われています。
米山梅吉はこれらの思想に大きな影響を受け、そして、生涯をかけそれを実践したのです。
人は、財産ばかりでなく、才能、知識、努力、献身など、誰でも世のため人のために与えることのできる何かをもっているはずです。
相手のことを思いやり、理解し、世のため人のために自分に何ができるのか考えて、そして、手を差しのべる。私たちロータリアンは、「与える文化」の実践者です。
ニコニコボックス、ロータリー財団への寄付、米山奨学会への寄付のみならず、各種事業展開の在り方などについて、再度その意義を考えてみる必要があると思うのです。
夢と志をつなごう
ロータリーの青少年奉仕は100年以上の歴史があります。
1916年には早くも当時の国際ロータリークラブ連合会が青少年活動委員会を設立し、1927年には世界で最初の青少年交換事業が実施されています。
その後、RIの青少年奉仕常設プログラムとして、1962年に「インターアクトクラブ」、1968年に「ローターアクトクラブ」、1971年に「ロータリー青少年指導者養成プログラム(RYLA)」、1974年には「ロータリー青少年交換プログラム」が、それぞれRI理事会によって正式に採択されました。
ロータリーの青少年奉仕プログラムの理念は、未来への投資であり、これらのプログラムを通じて、ロータリアンがロータリーの理念や伝統を、次世代の若者たちと共有し、引き継ぐことにあります。
2024年3月には「第36回全国ローターアクト研修会 山形会議」が、同年5月には「第27回国際ロータリー日本青少年交換研究会 山形会議」が開催されます。
全国を舞台にするせっかくの機会です。青少年奉仕活動の現状と課題を直視して、次の希望を見つけ出す起爆剤にしましょう。
この2つの全国大会の開催を通じて、私たちロータリアンの夢と志を、次代を担う若者たちにしっかりとつないでいきましょう。
二度とない人生だから 志を高く持とう
私が愛読する詩人坂村真民の詩集に「二度とない人生だから」という作品があります。
その詩の一部を紹介します。
二度とない人生だから 一輪の花にも 無限の愛をそそいでゆこう
二度とない人生だから まず自分の身近な者たちに できるだけのことをしよう
二度とない人生だから つゆくさのつゆにも めぐりあいのふしぎを思い 足をとどめてみつめてゆこう
二度とない人生だから 戦争のない世の実現に努力し そういう詩を一篇でも多く作ってゆこう
私は、この詩に、二度とない自らの人生を、実りあるものにするために生ききる「覚悟」を感じます。二度とない人生だからこそ、今、このとき、この世に生かされている我が身のありがたさを想う。そして、志を高く持ち、自分が世のため人のために何が出来るのかを問う。
1905年にロータリークラブを創設したポール・ハリスも、1920年にわが国にその精神を持ち込んだ米山梅吉も、きっと同じ想いだったはずです。
私たちロータリアンは、二度とない自らの人生を、実りあるものにするために、志を高く持って、ポール・ハリスや米山梅吉が切り拓いた道を、その先へと、手をたずさえて歩み続けて行こうではありませんか。
伊藤 三之 プロフィール
山形北ロータリークラブ所属
1960年(昭和35年)4月1日 生
伊藤三之法律事務所 弁護士
1978年3月 山形県立山形東高校 卒業
1983年3月 中央大学法学部 卒業
1993年4月 伊藤三之法律事務所 開設
2006年6月 山形北ロータリークラブ 入会
2014年-2015年 山形北ロータリークラブ 幹事
2017年-2018年 山形北ロータリークラブ 会長
2020年-2021年 第5グループガバナー補佐
2021年-2022年 地区職業奉仕委員会 委員長
ポール・ハリス・ソサエティ・メンバー
米山功労者マルチプル